+満月の夜に+
満月が光り輝く夜。
僕、ダレン・シャンと僕の師匠クレプスリーは小高い丘にピクニックに来ている。
来ているというよりは無理やりクレプスリーをつれだしてきた、というほうが正しい。
夜、目覚めたばかりのクレプスリーに、「満月の夜だからピクニックに行こうよ。」とクレプスリーの
マントの端を引っ張りながらお願いしたら、案の定「そんな暇、我が輩にはない。」と厳しくかえされてしまった。
クレプスリーがそう言うことははじめから計算していた僕はお弁当も作っておいた。
「でも、お弁当つくちゃった・・・・。」
ちょっとすまなそうな感じでいったらクレプスリーは「それならしかたあるまい。ひさびさにピクニックとやらに行くかのう。」と、ころっとおちてくれた。
そもそもなんで僕がクレプスリーとピクニックに行きたくなったのかというと、満月だからではない。
せっかく両思いになったクレプスリーとラブラブいちゃいちゃしたかったからである。
そんなこんなで今クレプスリーと二人楽しくお弁当を食べている。
お弁当はもちろん僕が愛を込めて作った手作り弁当で、ちょっとケガをしながらもはじめてにしてはうまく作れたと思っている。
お弁当の中身は玉子焼き、唐揚げ、おむすびといった、いたってマイナーな料理ばかりだ。
でもクレプスリーは文句も言わず(バンパイアだからね・・・)ぱくぱくとお弁当を食べてくれた。
「これはダレンが作ったのか?」さきほどまで一言も話しかけてくれなかったクレプスリーが突然僕に話しかけてきて少々驚いたものの、「うん、そうだよ。」と答えた。
僕が答えた瞬間クレプスリーの顔がサッと曇ったように見えた。
「もしかして、まずかった?」僕も僕が作ったのは食べたけど、まずくはないはずだけど、心配になって一応聞いてみた。
「そうではない。」クレプスリーはなんだかとてもつらそうな顔をしながら答えた。
「じゃ、何なの?」僕の問いにクレプスリーはいっそう困った顔をした。
しばらく静寂が続いたあと
「その絆創膏どうしたんだ?」とクレプスリーに問われた。
お弁当を作っていて指を切った、と言うのがなんだか恥ずかしくて「えっと・・・その・・・・。」としどろもどろな返事をした。
「もしや、これを作っていて指でも切ったのではないだろうな。」クレプスリーに確信をつかれてしかたなく「そうだけど・・・。」と答えた。
「何をしているんだ、ダレン。たかが弁当のためにケガをすることなかろうが。」急に大きな声で言われてびくっとなった。
「だって、だって・・・・。」クレプスリーのことが好きだから・・、そう続けようとしたけれどそれはクレプスリーに抱きしめられたことによって無理になってしまった。
「我が輩はな、ダレン。お前が好きで好きでたまらない。だから、こんなケガはしてほしくない・・。」
クレプスリーが僕のことをそれほどまで大切にしてくれている・・・。
そう思うとなぜかうれしくて涙があふれてきた。
「お、おい、ダレン。どうしたんだ?」
「わかんない・・・。でも、僕もクレプスリーのことが好きで好きでたまらないよ。」
その間も涙はとめどなく僕の頬を流れ続けていく。
そんな僕に見かねたのかクレプスリーが指で僕の涙をふいてくれた。
そのあとお互いに顔を見合わせて笑いあった。
+あとがき+
二作目です。
なのに一作目からぜんぜん進歩してません。
ごめんなさ〜い。
もうちょっとラブラブいちゃいちゃできるようがんばります。
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